Question
カウンセリングはどんな人が通うの?
カウンセリングは特殊な人が通うところではありません。
とある勉強会で私にこんな質問をした男性がいました。
「塚越さん、どうしてカウンセリングや精神科を受診しようと思ったんですか?」
私は一瞬質問の意味がわからなくて聴き返してしまいました。「えっ?」
するとその男性は少し声を落として、「いやぁだって、会社に精神科に通ったなんてことが知れたら、ねぇ。僕は男ですからいろいろ考えるわけですよ」とおっしゃいました。
カウンセリングはまだまだ日本では特殊な人の通うところという偏見が強いですね。
カウンセリングは特殊な人が通うところではありません。
心理学の先進国アメリカではカウンセリングは州によっては保険適用で受けることができます。そして、健康診断にはカウンセリングと心理療法・催眠療法がセットになっていたりします。また、企業のエグゼクティブはヘッドハンティングの条件に優れたカウンセラーをつけることをあげます。
そのくらい当たり前の事なのです。
日本でも企業においてCSR(企業の社会的責任)の観点から従業員の健康管理も企業の責任とみなされるようになりました。厚生労働省の「労働におけるCSRのあり方に関する研究会」2004年6月の中間報告書で企業が従業員に対して取り組むべき重要事項として以下のように指摘しています。
「心身両面の健康確保対策および労働災害防止対策を行い、労働者(従業員)が安心して働ける環境の整備を図る」こと。心のケアは、前述の男性のように受けたくても社会的な偏見が気になって受けられないということではいけないという状況になってきています。
予防医学では第一次予防、第二次予防、第三次予防という考えかたがあります。第一次予防は「病気を発生させない」第二次予防は「病気の早期発見・早期治療」を第三次予防は「既におきた病気の回復・機能維持・再発防止」を意味します。
心のケアにおいても同じように考えることができますね。
これまでのカウンセリングはもっぱら第三次予防「おきてしまった心のトラブル」での利用でした。これからのカウンセリングは、未然に防ぐための第一次予防、そして早期発見・早期改善のための第二次予防として利用していく段階にはいりました。
日々、激しいストレスにさらされている現代人にとって、ストレスマネジメント能力は必須のものです。そして、社会が複雑化している現代、一人でからまった糸をほぐすよりも、絡まりを一緒にほぐしてくれるカウンセラーを頼ることは当たり前なのです。